2022年度健康情報シリーズ臨時特集"特定保健指導"①
特定保健指導を受けて元気な毎日を送りましょう
(Let's take the Specific Health Guidance and live a healthy life! )

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特定保健指導とは?

 日本では、平均寿命と健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)の間に男性で約9年、女性で約12年の差があります。 健康寿命を延ばすためには、バランスの良い食事によるメタボ対策と、 定期的な運動習慣によるロコモ対策の両方が大切です。

 メタボとはメタボリックシンドロームの略です。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪がたまりすぎた結果、血糖や、血圧、脂質の異常が引き起こされた状態です。高血糖・高血圧・脂質異常症・喫煙のリスクが増えるほど、動脈硬化が進行し、虚血性心疾患や脳血管障害を発症するリスクが高まります。また、メタボリックシンドロームは認知症のリスクを上げます。

 ロコモとは、ロコモティブシンドロームの略です。運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態をいい、ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高くなります。要支援、要介護になる原因のトップは転倒、骨折や関節の病気など運動器の故障です(ロコモチャレンジ!推進協議会:https://locomo-joa.jp/locomo/)。

 メタボ、ロコモ、そして、最近コロナ禍で注目されている「免疫力」の維持に必要とされることは同じです。必要な栄養素を摂れるバランスの良い食事、毎日の生活の中で継続できる運動、質の良い睡眠です。

 保健管理センターでは、毎年秋に教職員健康診断と同時に特定健康診査を実施しています。その結果から、将来、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な心血管疾患を引き起こす可能性が高いとされるメタボよりも、さらに手前での対応を目指し、基準を満たすと判定された方に対して生活習慣を見直すサポート(特定保健指導)をご案内しています。

特定保健指導の対象となる人は?

特定健康診査の結果および質問票に基づき、下記のように判定しています。

(ステップ1)内臓脂肪面積のリスクを判定

①腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)

②BMI(25kg/m2以上)

③①、②以外

(ステップ2)検査結果・質問票よりリスクをカウント

④血糖:空腹時血糖100mg/dl以上またはHbA1c 5.6%以上

⑤脂質:中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満

⑥血圧:収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上

⑦喫煙歴:あり

(ステップ3)ステップ1、2から特定保健指導レベルをグループ分け

 ステップ1で①に該当した場合、④~⑦のリスクのうち、追加リスク2つ以上で積極的支援、1つで動機づけ支援、ステップ1で②に該当した場合、④~⑦のリスクのうち、追加リスク3つ以上で積極的支援、1~2つで動機づけ支援となります。ステップ1で①②に該当するものの、追加リスク0の場合、およびステップ1で③に該当する場合は特定保健指導の対象とはなりません。

特定保健指導の実施内容は?

 上記の保健指導レベルに基づき、医師、保健師、管理栄養士などがライフスタイルを考慮したサポートを行い、状況に応じて、病院での精密検査や投薬をお勧めします(http://www.hcc.keio.ac.jp/ja/health-checkup/faculty-staff/tokuteihoken.html)。

 糖尿病、高血圧、脂質異常症の薬を服用している方は、かかりつけ医による保健指導が実施されていると考えられるため特定保健指導の対象外となります。また、65歳以上の方は、動機付け支援のみを行います。これは、メタボ対策よりも、低栄養や筋肉量の低下を防ぐ食生活や身体活動を勧めるなど、認知症およびロコモの予防・改善を目指し、生活機能の維持や介護予防に繋げることを目的としているためです。

 特定保健指導は健康対策を専門家と一緒に考えることができる大きなチャンスです。ぜひこの機会にご利用ください。


参考資料 1)慶應義塾大学保健管理センター「特定保健指導について」
http://www.hcc.keio.ac.jp/ja/health-checkup/faculty-staff/tokuteihoken.html



(慶應義塾大学保健管理センター 後藤伸子  )