【在宅勤務における健康管理】
VDT症候群の予防

VDT症候群とは、パソコン作業などVDT(Visual Display Terminals) 機器を使用した長時間作業を原因として生じる心身の異常です。自宅でのテレワークに伴い、パソコンを使った作業が増加しており、その予防が大切です。

VDT症候群の症状

眼症状では、ディスプレイを長時間見続けることから、目の疲れ(眼精疲労)、目の渇き(ドライアイ)、視力低下などをきたします。

体の症状としては、同じ姿勢で作業を続けることから、首、肩、腰の凝りや背中の痛みが起こります。また頭痛や吐き気を伴うこともあります。

心の症状としては、眼や体の不調がストレスとなり心の異常に発展します。他人と交わることのない孤独な作業から、うつ状態になることもあります。

VDT症候群の予防対策

作業場所の明るさでは、眼のためにはパソコン設置場所の明るさが重要です。明るすぎず暗すぎず(机上の照度は300ルクス以上、ディスプレイは照度500ルクス以下)、直射光が画面上で反射しないようにします(太陽光が入射する場合にはカーテンを使用等)。

パソコンの設置位置では、ドライアイの予防のために、視線がやや下向きになるようにパソコンの高さを画面上端と眼の高さが同じか少し下になるように調整します。また、画面から40cm以上離れて作業することが望ましく、画面が見づらい場合は眼鏡の使用や文字の拡大などの工夫をします。さらに、作業中の眼の渇きを予防するため瞬きを意識して行い、エアコン等の風が眼に直接あたらないようにします。

作業の姿勢では、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、足裏全体を床につけた姿勢が基本です。背もたれやひじ掛けのついた椅子、脚が窮屈でない机を選びます。最近では立った姿勢でパソコンを扱うためのスタンディングデスクなども利用されています。

作業1時間ごとに10~15分程度の休憩を取ります。休憩時は遠くの景色を眺めて眼を休め、またストレッチをしたり肩を回したりして筋肉の凝りをほぐします。前傾姿勢や長時間同じ姿勢を続けることで生じる腰痛に対しては、ストレッチで筋肉の血流を改善し、疲労回復を図ることが重要です。腰痛対策として、腹筋運動や背筋運動等、いろいろな種類の運動が提唱されています。



(慶應義塾大学保健管理センター 和井内由充子、保健師 松本可愛)


詳細は以下を参照してください。

厚生労働省 「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」
厚生労働省 「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」