【休校期間中の過ごし方(中高生版)】
友達や知り合いが新型コロナウイルス感染症になったら

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、もしも私たちの友人や知り合いが感染したとしたら、あるいは濃厚接触者として自宅で待機していなければならなくなったとしたら、私たちはそのことについてどう考え、どのように配慮していけばよいのでしょうか。


感染者・濃厚接触者を配慮するため、そして社会の安定を保つために、新型コロナウイルス感染症を3つの段階に分けて捉えるという考え方があります。1つ目の段階は、「新型コロナウイルス感染症そのもの(病気)」です。これが社会に広まると、感染の2つ目の段階である「不安」が、私たちの心に広まっていきます。不安は人間の身を守り、生きていくために必要な感情でもありますが、それに振り回されないようにすることも大切です。この不安をうまくコントロールできないと、次に感染の3つ目の段階である「偏見や差別」といった心理が蔓延し、社会の大切な繋がりや、人と人との信頼関係が壊されていってしまいます。また偏見や差別の目でみられることを恐れるあまりに、熱や咳があっても相談や受診をためらい、結果としてウイルスの拡散を招いてしまうということもあります。


このような、「病気」・「不安」・「偏見や差別」という3段階からなる悪循環を意識し、それを断ち切っていくことが、感染者・濃厚接触者への配慮において大切なこととなります。そのために、今の自分の気持ちや考え方を落ち着いて振り返り、偏った情報にばかり注目してはいないか、何事も新型コロナウイルス感染症と結び付け、いたずらに不安を大きくしてはいないか、と整理してみるのもいいでしょう。


感染者・濃厚接触者として行動が制限されている友人・知人と実際に会うことは難しいかもしれませんが、状況を確認した上で、電話やメールでやりとりすることはできます。その際、感染者・濃厚接触者だからといって特別には考えず、今まで通りの良き友人として声かけをするという姿勢が十分なサポートとなるでしょう。そしてその友人たちは、病気に負けないよう、感染を拡大しないよう必死で頑張っている仲間なのですから、ねぎらいと敬意の気持ちをもちましょう。


困っている人、弱っている人への最善のメッセージは「Yes、 You Can(できますとも!)」です。病気も治る、また学校や部活、遊びを楽しめる、そういう日が必ず来る、とまずは私たち自身で確信し、その希望をそのまま相手に伝えてあげましょう。Yes、 You Can!



(慶應義塾高等学校・慶應義塾女子高等学校保健室 カウンセラー 浅井直樹)