2022年度健康情報シリーズ臨時特集"特定保健指導"
④食事と運動
食事と運動を見直して内臓脂肪を減らしましょう
(Let's review your diet and exercise to reduce visceral fat)

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エネルギーの目安

 大まかに腹囲1㎝は体重1㎏に相当し、体重1㎏を減らすには7,000kcalのエネルギー消費が必要と考えられます。「腹囲1㎝=体重1㎏=7,000kcal」をキーワードに食事や運動の見直しを図りましょう。

 キーワードをもとに、目標とする腹囲、体重までに消費すべきエネルギー量を計算してみましょう。途方もないと思われる数字が出てくるかもしれませんが、じっくり取り組むことが大切です。減量の目安は1か月あたり1~2㎝=1~2㎏とし、1日あたりの消費すべきエネルギー量を算出してみましょう。

 <例>腹囲90㎝の男性の場合
目標とする腹囲(85㎝)まで90-85=5㎝
目標達成までに減らさなくてはならないエネルギーは7,000×5=35,000kcal それを5か月で達成するなら、1日当たりに減量すべきエネルギーは 3,5000÷5÷30=約233kcal/日となります。
エネルギーを減らす方法は食事改善、運動での消費がありますが、どちらか一方だけで取り組むよりも組み合わせて行う方が効果的です。

食事編

 まずは食事のバランスを見直しましょう。厚生労働省と農林水産省が作成した食事バランスガイド(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/)を参考に、自分に合った食事の量と内容を確かることをお勧めします。食事バランスガイドでは、ごはんやパンなどの主食、野菜やきのこ類などの副菜、肉・魚・卵などの主菜、牛乳・乳製品、果物を摂取するうえでの量的目安が分かりやすく示されています。食事を抜くことがある、主菜ばかり摂りすぎている、副菜が足りない、菓子・嗜好飲料(アルコールやジュース)が多い、などは内臓脂肪の蓄積を招きやすい食習慣です。

 バランスの良い食事は保ちながら、摂取エネルギーを見直しましょう。量的に減量するならば100kcal単位で考えると実施しやすいと思います。ごはん60g(普通盛りの半分弱)が100kcalに相当し、糖分の含まれる缶コーヒーは1本で100kcalを超えます。また食事バランスガイドに沿って、品目数は減らさなくても食材を変えたり(脂肪の多いロース肉やバラ肉から魚へ変更など)、調理法を変えたり(「揚げる・炒める」から「蒸す・煮る・網焼き」へ変更など)することでエネルギーを減らすことが可能です。

運動編

 普段どれくらい体を動かしていますか?運動によって筋肉が鍛えられると基礎代謝量が増え、血糖値を下げるインスリンの働きが良くなる、血圧が改善する、中性脂肪が低下し、善玉コレステロールであるHDLコレステロール値が上昇するなどの効果があります。脂肪燃焼には有酸素運動が効果的です。

 身体活動の強度は安静時の何倍に相当するかで考えられ、「メッツ(Mets)」という単位で表します。また身体活動量は、身体活動強度に実施時間をかけて「メッツ・時」で評価されます。健康な身体作りのためには、3メッツ(=歩行の強度)以上の身体活動を週23メッツ・時行います。1メッツ・時に相当する運動は、歩行20分、速歩14分、自転車15分、水泳8分などで、1.05×1(メッツ・時)×体重(kg)=消費エネルギー(kcal)を消費できます。従って、体重50kgの人が2メッツ・時(速歩ならば28分)の運動を行うと約100kcal消費できることになります。運動だけでなく、風呂掃除や床磨き、モップ掛けも歩行並みの活動強度になりますので、生活の中に積極的に取り入れることを推奨します。

 なお、これまで普段の活動量が少ない場合には急に負荷の大きい運動をするのではなく、少しずつ活動量を増やしましょう。また既往歴などから運動を制限されている場合には主治医の指示に従って適切な運動を行ってください。


【参考資料】
1)農林水産省HP「食事バランスガイド」
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
2)厚生労働省e-ヘルスネット 内臓脂肪減少のための運動M
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-002.html
3)厚生労働省e-ヘルスネット 活動量の評価法
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-03-001.html
4)厚生労働省HP「健康づくりのための身体活動基準2013」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf



(慶應義塾大学保健管理センター 武田彩乃、畔上達彦 )