コロナ太り
(Gaining weight during the coronavirus disease 19 pandemic)

  • Date:

 2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は瞬く間に世界各国に拡大し、2020年3月には世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言するまでに至りました。我が国では、感染拡大を防止するため、2020年3~5月に全国の学校に対して臨時休校が要請され、同年4~5月には初回の緊急事態宣言が発令されました。この間、外出を自粛してほとんどの時間を自宅で過ごすようになり、「コロナ太り」を経験された方も多いのではないでしょうか。今回は、国内外の学術報告をもとに、「コロナ太り」の実態についてお伝えします。

【小児の「コロナ太り」】

 国内の学術報告はまだ少数ですが、臨時休校によって小児の体重、肥満度※1、BMI※2が増えたことが報告されています。慶應義塾の小中学校でも、健康診断結果をもとにデータ解析を行いました。その結果、2020年度の「肥満傾向」(肥満度 +20%以上)の割合は、小学生男子で例年の約3倍に増加していました。また、2020年度の「太った」(肥満度が1年間で10%以上増加した場合と仮定しました)の割合は、小学生男子・女子と中学生男子で例年の2~17倍に増加していました。海外においても、小学生のBMIが1年間でどれだけ増加するか調べた研究で、2020年の増加量は例年の約10倍だったと報告されています。 

  1. ※1 肥満度[%]={(実測体重[kg]-標準体重[kg])÷標準体重[kg]}×100
  2. ※2 BMI[kg/m2]=体重[kg]÷身長 [m] ÷身長 [m]

【成人の「コロナ太り」】

 今回調べた範囲では、自粛期間前後の体重変化に関する国内の学術報告はまだないようですが、民間の調査会社から、3~6割の人がコロナ太りを経験しているという調査結果が出されています。海外においては、30以上の国から都市封鎖によって体重が増加したという報告があり、3~4割(少ない報告では1割、多い報告では7割)の人が体重増加を認めたと報告されています。

【「コロナ太り」の原因】

 小児・成人ともに、間食・食事回数の増加、野菜・果物の摂取量低下、肉類・乳製品の摂取量増加、座位時間の増加、スクリーンタイム(テレビ、スマートフォン、PC(インターネット)、ゲーム機器の使用時間)の増加、身体活動の低下、歩行時間の減少などが挙げられています。

 肥満はCOVID-19の重症化の危険因子の一つと言われています。まだ感染状況が落ち着かず生活に制限のある中ではありますが、肥満にならない、あるいは悪化させないよう、食事や運動習慣に気を配りましょう。 



(慶應義塾大学保健管理センター 長島由佳  )