コロナ禍と偏見
(Stigma related to Corona)

  • Date:

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第2波のピークが過ぎたとの見方が報道され、学校での児童生徒間の距離も短縮が容認されるようになりました。社会において、感染拡大防止への緊張感が緩み始める時期です。

 2020年3月から学校活動の休止が始まって半年が経過し、感染自体の問題もさることながら、日本では感染者への恐怖・不安から来る差別が問題となっています。世間では、これを「自粛警察」と呼んでいるようです。医療関係者がCOVID-19のウイルスを運んでいる可能性を、他のキャンパスの教職員から懸念され、保健管理センター医師が移動を控えたこともあれば、信濃町における研修医の集団感染発生後、他の無関係な研修医が、罪悪感を抱きながら実習に回らねばならなかったと聞きます。さらに、感染から回復したにもかかわらず、寮に復帰するな、部活動を再開するのは不謹慎と言われた学生もいます。この結果、パニック障害、抑うつ状態、適応障害を発症した事例もみられました。

 COVID-19の感染力の強さは報道から周知の事実であるにもかかわらず、日本では「感染することは本人の自己責任」と責める傾向があり、海外との相違が指摘されています。この差別意識は、ストレスに感じられますが、法の抑止力に対して一般抑止力に相当すると言えます。自分自身が感染した場合には、いたたまれない思いをすること、顔を上げて生活できなくなることを忘れずに、緊張感を緩めることなく、感染予防に気を配って下さい。

 一日も早い、大学生活再開の日を迎えるためにも、今後、教職員と学生が対面して大学キャンパスでの生活を送るためには、各人の他者への配慮が非常に重要となります。また、知人・身内が感染し、日常生活に支障を感じる、不安を抱いておられる方、対処法がわからず困っておられる方は、保健管理センターにご相談ください。



(慶應義塾大学保健管理センター 西村由貴)