すぐに役立つストレス・コーピング講座
(A practical introduction to coping with stress)

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 新型コロナウィルス感染症の拡大によって,私たちは様々なストレスを体験しています。こうしたストレスに対処する「ストレス・コーピング」は現代のストレス社会を生きる私たちにとって欠かせないライフスキルの一つです。ここではそのポイントを簡単に紹介します。

【ストレスのメカニズムとコーピング】

 ストレスを引き起こす要因が「ストレッサー」です。しかし,同じストレッサーであってもその捉え方は人それぞれです。その「認知」のあり方によって,「ストレス反応」は変わります。このストレスのメカニズムをよく頭に入れましょう。「ストレッサー」,「認知」,「ストレス反応」に自覚的・戦略的に対処するのがストレス・コーピングです。


ストレスのメカニズム

ストレッサー → 認知 → ストレス反応


【ストレッサーとストレス反応】

 ストレッサーには,①災害や事件,②ライフイベント,③日常生活における負担やイライラなどがあります。新型コロナウィルスの感染拡大は①、外出制限により家で過ごす時間が増えるのは③、また,春は多くの方々が入学,就職などの②を体験する時期です。私たちがどれだけ多くのストレッサーに晒されているかが理解できます。一方、ストレス反応は,不眠,頭痛,腹痛,イライラ,食欲の増減,集中力の低下など様々です。人それぞれ出やすい反応があります。普段からこうした反応をチェックするよう心掛けましょう。

【ストレス・コーピングのポイント】

 ストレス・コーピングとしては,ストレッサーを取り除いてしまうことが一番の近道でしょう。しかし,それを取り除けない場合も少なくありません。そこで私たちの捉え方,認知を変えます。それと共にストレス反応を軽減させます。つまり疲れを癒します。また,ストレッサーを自覚していなければ私たちはコーピングを適切に行えません。そのためストレッサーに気づくことも重要なコーピングの一つです。つまり下記の四つが私たちに出来るストレス・コーピングです。これらを自覚的・戦略的に組み合わせて行います。以下に具体例を提示します。


4つのストレス・コーピング

  1. ストレッサーに気づくコーピング
  2. ストレッサーを取り除くコーピング
  3. 認知を変えるコーピング
  4. ストレス反応を軽減するコーピング

1)ストレッサーに気づくコーピング

 簡単な方法は,気がかりなことを全て紙に書き出すことです。これは頭の中を視覚化して整理する外在化と呼ばれる技法です。書き出すことでストレッサーを見つけやすくなります。大切なことは頭の中の気がかりを全て書き出すことです。

2)ストレッサーを取り除くコーピング

 この方法は様々です。我慢しないで自分の考えを相手に伝える,人に頼る,苦手な状況を避ける,大きな課題はスモールステップで取り組む,などがあるでしょう。大切なことは,ストレッサーを取り除く,という視点を持つことです。この視点で自分ができるコーピングを自由な発想で考えてみましょう。

3)認知を変えるコーピング

 ストレッサーの捉え方を自覚的に変えてみましょう。例えば,この仕事に取り組めば苦手を克服できる,などポジティブな面を戦略的に見出します。あるいは,視点や発想を意識的に変えます。その際,人に相談をして,新しい視点を得ることも大切です。人に相談する意味はこうした点にもあります。大切なことは自覚的・戦略的に捉え方を変えることです。

4)ストレス反応を軽減するコーピング

 このコーピングを私たちは普段からやっています。疲れたのでダラダラしたり,愚痴をこぼして発散したり,ゆっくりお風呂につかったり。これらもコーピングです。ただし,大切なことはこれらを自覚的・戦略的に行うことです。疲れ果ててダラダラするのではなく,その前に適度な休息を自覚的に取るのです。それが戦略的という意味です。ストレス反応を軽減するコーピングには,呼吸法などのリラクゼーション法が有効です。是非、自分にあった方法を見つけましょう。



(慶應義塾湘南藤沢中高等部・慶應義塾横浜初等部 カウンセラー 貞安 元 )