心不全とは
心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。高齢化を迎えた日本では、心不全の罹患者,死亡者が増加の一途をたどっています。現在、約100万人の心不全患者がいるとされており、55 歳で健康である人の3人に1人がその余生で心不全に罹患するという報告があります。
心不全の原因
高血圧や糖尿病、肥満、動脈硬化などは心臓の病気の大きな危険因子です。やがて、心筋梗塞、心筋症、弁膜症など、いろいろな心臓の病気を引き起こして、心不全となります。心不全の原因疾患は多岐にわたります。心筋梗塞や心筋症のように心臓の筋肉が直接的に障害を受けて心不全を発症する場合、弁膜症や高血圧などにより心臓の筋肉に長期的に負荷が加わり機能障害から心不全を発症する場合、頻脈性ないし徐脈性不整脈により血行動態の悪化を招く場合などがあります。また、全身性の内分泌・代謝疾患、炎症性疾患などの一表現型としての心不全、栄養障害や薬剤、化学物質といった外的因子による心筋の障害から発症する心不全など、心不全の根本原因が心臓以外に存在する場合もあるので注意が必要です。
心不全の症状
心臓は、全身に血液を送るポンプの役割をしています。心不全では、①心臓が全身に血液を送り出せないことによる症状と、②送り出せない血液が体にたまる症状が出ます。
① 全身に血液を送り出せないことによる症状
- 血圧が下がる
- 疲れやすい
- 体がだるい
- 手足が冷たい
②送り出せない血液が体にたまる症状
- 息苦しい
- 夜間に咳が出る
- 横になると苦しい
- 動いたときに息が切れる
- 体重が増える
- 足がむくむ
- 食欲がない
心不全の予防
心不全を含めて循環器病は予防が大変有効です。心不全は、食事、運動などの生活習慣管理に加えて、心不全の危険因子に対する適切な薬物治療により、発症・進行・再発を予防できます。
- 禁煙しましょう
- 節酒を心がけましょう
- 適切な運動を行いましょう
- バランスのよい食事、とくに塩分の摂りすぎに注意しましょう
- 便通を整えましょう
- 感染症を予防しましょう
- 心臓に優しい入浴をしましょう
- ストレスをうまく付き合いましょう
がんと同じくらい予後の不良な心不全は上記のような症状がよくなっても、完全に治ったわけではありません。再び悪化させないように生活習慣に気をつけて、心不全とうまく付き合っていくことが大切です。