風疹の流行について
(Rubella epidemic)

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風疹が東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県と首都圏を中心に流行しています。日本で報告されている風疹患者は、2016年は125人、2017年は93人でしたが、2018年は7月下旬より報告数が増加し、10月10日現在1103人が報告されています。

性・年齢別では、男性(83%)に多く、年齢別では、30歳~50歳代(83%)が大部分を占めています。この年代の男性に風疹の免疫がない人が多いことが、今回の流行の原因として指摘されています。

【風疹の症状】

風疹は風疹ウイルスの感染症で、ウイルスを吸い込むことで感染し、14~21日後に発熱と発疹が出現します。その他の症状としては、頸部や耳の後ろなどのリンパ節が腫れること、眼球の結膜が充血することが特徴です。小児では症状が軽い場合がほとんどですが、成人が罹ると発熱や発疹の期間が小児に比べて長くなり、関節痛を認めることもあります。一方、感染しても全く無症状の人が少なくとも15%存在します。

【先天性風疹症候群】

妊娠20週までの女性が風疹に感染すると、風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、新生児に「先天性風疹症候群」という重篤な先天異常が発症します。妊娠中の感染時期によって重症度や症状が異なりますが、妊娠2ヶ月以内の感染では約半数の新生児に先天性心疾患、白内障、難聴を認めます。その他に、低出生体重や精神運動発達遅延などを合併します。日本では、2012-2013年の風疹の流行時に、16730人の風疹患者が報告されましたが、この流行に関連して45人の乳児が先天性風疹症候群と診断されています。

20~40歳代の妊娠出産年齢である女性の20%では免疫が不十分であることが指摘されています。先天性風疹症候群を予防するためには、女性は妊娠前に風疹に対する十分な免疫を獲得しておくことが必須です。また、女性だけでなく男性も風疹の免疫を獲得して風疹の流行を抑制し、妊婦が風疹ウイルスに曝されないようにすることが必要です。

【風疹の予防接種】

2018年に風疹に感染した人のうち、24%の人は風疹ワクチンを接種しておらず、また68%はワクチン接種が不明であることが報告されています。風疹の予防には2回のワクチン接種が必要なため、現在では1歳時と小学校就学前の計2回、麻疹風疹混合ワクチン(MR混合ワクチン)による定期接種として行われています。しかし、1979年以前に生まれた男性では1回も接種していないことから、今回の流行はこの年代の男性が中心になっています。これまでに風疹の予防接種を受けたことがない、あるいは接種が不明な人で、過去に風疹に罹ったことが血液検査で確認されていない場合は、成人も予防接種を受けることをお勧めします。お近くの医療機関で相談してください。

なお、風疹の予防接種は妊娠中の女性は接種することができません。また、女性ではワクチン接種後2ヶ月間の避妊が必要です。



(慶應義塾大学保健管理センター 康井洋介 )