精巣捻転症
(Torsion of testicle)

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【精巣捻転症とは】

 男子の陰嚢の中には、精巣という男性ホルモンや精子を作る臓器があります。精巣には血液が流れる血管(動静脈)と精子が通る精管がつながっていて、精索と呼ばれる束になっています。精巣捻転症はこの精索が雑巾を絞ったように捻れてしまい、精巣に血液が流れなくなる病気です。治療が遅れると精巣が壊死してしまい、精巣を摘出せざるを得なくなる緊急性の高い病気です。精巣が急速に発育する10~15歳の思春期と、生後間もない新生児に発症することが多く、25歳以下の発症は10万人あたり4.5~25人と言われています。

【精巣捻転症の症状】

突然の陰嚢の激しい痛みと大きく腫れてくることで発症し、腹痛や吐き気を伴うこともあります。右側よりも左側の精巣に起こりやすく、夜間から早朝の時間帯、冬などの寒い時期に多いことが特徴です。また、陰部の打撲をきっかけに発症することもあります。

【精巣捻転症の治療】

 精巣捻転症では精巣への血流が滞るため、放置すると精巣が壊死してしまいます。緊急手術を行い、陰嚢を切開して精巣の捻れを戻し、今後捻れないように陰嚢内に糸で縫合して固定をします(反対側の精巣も体質的に捻れやすいため同時に固定します)。一般的には発症から6~8時間以内に捻れを解消し血流を戻さなければ、精巣の機能は回復できないと考えられています。手術までの時間が長い場合には、血流が回復しても精巣が小さく萎縮し機能が悪くなってしまう可能性があります。そのため、いかに早く医療機関を受診するかが重要となります。

【精巣捻転症の問題点】

 思春期男子では、疾患の部位が陰嚢のため、羞恥心のため家族や周囲の人になかなか相談することができずに、病院への受診や治療が遅れてしまうことがあります。精巣捻転症に関する正しい知識を本人や家族が学んで、この疾患の緊急性をよく理解しておくことが必要です。また、精巣捻転症が疑われた場合には、この疾患の緊急手術が可能な医療機関を直接早急に受診することが重要です。さらに、手術の際に麻酔をかけるため、精巣捻転症が疑われた場合には食事摂取や飲水を控えて受診することが大切です。



(慶應義塾大学保健管理センター 山田茉未子 )
(慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室 浅沼 宏)