発達障害
(Developmental disorders)

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発達障害とは

発達障害とは、生まれつきの脳の機能障害から起こる様々な特性のことで、「自閉症スペクトラム障害」、「注意欠如多動性障害(ADHD)」、「学習障害」などがあり、医療現場ではアメリカ精神医学会の手引き書をもとに診断されます。それぞれの特性として、「自閉症スペクトラム障害」は、コミュニケーション障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動など、「ADHD」は、不注意、多動・多弁、衝動的行動など、「学習障害」は、読む・書く・計算するなどの能力が全体的な知的発達に比べて極端に苦手である事などがあげられます。一人に複数の発達障害が併存していることも、少なくないことがわかっています。 

発達障害の原因は?

発達障害の原因として、遺伝因子に加えて、環境因子が関わっていると言われています。原因となりそうな遺伝子が次々に報告されていますが、現時点では特定されていません。また、環境因子としては、周産期異常、妊娠中の大気汚染曝露、抗うつ薬内服、喫煙、飲酒、環境ホルモンなどが報告されていますが、いずれも確定的ではありません。

発達障害は増えている?

日本では、2005年度から「発達障害者支援法」が施行され、法律上も発達障害の定義が明文化されています。その法律がつくられた背景には、小・中学校の通常学級では約6%の児童・生徒が発達障害と考えられ、何らかの支援が必要であるという2002年の調査結果があります。実際に、学校で何らかの支援が必要と考えられる児童・生徒や、発達障害を心配して医療機関を受診する子どもが増えていることが報告されています。しかしながら、それらの子どもたちが本当に発達障害なのかは明らかではなく、発達障害が増えているか、否かの結論は出ていません。

発達障害は治る?

 発達障害の原因は、脳の機能障害であり、発達障害自体は治りません。発達障害の特性は、年齢による表れ方の変化はあるものの、生涯にわたり続きます。最近、成人になってから発達障害と診断された例が多く報告されていますが、これらは生まれた時から持っていた特性により大人になってから問題が生じ、発達障害に気づかれたものです。また、「ADHD」では薬物治療が行われますが、薬物治療により「ADHD」の特性が緩和されるものの、特性が消失するわけではありません。このように、発達障害を持つ人は生涯にわたってさまざまな特性を持ちながら生活する必要があることから、周囲の人たちが発達障害に対する理解を含め、適切な行動や習慣の獲得に向けた支援を提供することが重要です。また、発達障害があるために生じる問題行動や精神疾患などの二次障害の予防も、大事な視点です。

発達障害の強みは?

発達障害があっても世の中で活躍している人は多く、偉業を成した人もいます。「自閉症スペクトラム障害」でみられる狭く深く関心事に向ける情熱や、「ADHD」における好きなことに示す強い好奇心や探究心など、特性は場合によっては強みになることも忘れてはなりません。



(慶應義塾大学保健管理センター 有馬ふじ代 )