白衣高血圧と仮面高血圧
(White coat hypertension and masked hypertension)

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【白衣高血圧とは?】

白衣高血圧は、診察室や医療現場で測定した血圧が高血圧(140/90 mmHg以上)であっても、診察室外血圧が正常域血圧(家庭血圧 135/85 mmHg未満など)を示す状態です。診察室血圧で高血圧と診断された患者の15~30%が白衣高血圧に相当し、その頻度は高齢者で増加します。

【白衣高血圧への対応】

白衣高血圧は診察室外血圧も高い通常の高血圧と比較した場合、臓器障害(心肥大、動脈硬化、慢性腎臓病など)は軽度で、脳梗塞や心筋梗塞などの発症も少ないとされています。しかし、必ずしもまったく良性というわけではなく、診察室外血圧が高値傾向(家庭血圧 125-134/80-84 mmHgなど)にある場合や、臓器障害を合併する場合、心血管リスク(肥満・メタボリックシンドロームに関係する因子など)を有する場合では、白衣高血圧は将来的に高血圧に移行し、長期的には心血管イベントのリスクを高めることがあります。さらに、白衣高血圧は耐糖能障害や脂質異常症を合併する頻度が高く、将来の糖尿病の新規発症リスクになります。したがって、白衣高血圧と診断された場合には、降圧薬治療は不要ですが、生活習慣の是正などの健康管理が必要となります。

【仮面高血圧とは?】

診察室血圧が正常域血圧(140/90 mmHg未満)であっても、診察室外の血圧が高血圧(家庭血圧 135/85 mmHg以上など)を示す状態です。仮面高血圧は、正常域血圧を示す一般住民の10~15%、降圧治療中の高血圧患者の約30%にみられます。

【仮面高血圧への対応】

仮面高血圧の臓器障害と心血管イベントのリスクは、正常域血圧や白衣高血圧と比較して有意に高く、通常の高血圧患者と同程度です。仮面高血圧は正常域血圧に比べて代謝異常を伴いやすく、左室肥大や頸動脈肥厚、無症候性脳血管障害などの高血圧性臓器障害が進行しています。仮面高血圧になりやすいのは、降圧治療中にある高血圧患者、正常高値血圧(診察室血圧 130-139/85-89 mmHg)、喫煙者、アルコール多飲者、精神的ストレスが多いもの、身体活動度が高いもの、心拍数が多いもの、起立性血圧変動異常者、肥満・メタボリックシンドロームや糖尿病を有する患者、左室肥大などの臓器障害や心血管疾患の合併例などです。したがって、仮面高血圧と診断された場合には、診察室外血圧を指標として、降圧薬治療を含む血圧管理が必要となります。



(慶應義塾大学保健管理センター 畔上 達彦)