肥満とやせの判定方法
(Screening for obesity and thinness)

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肥満ではいわゆる動脈硬化性疾患などの重大な疾患を合併しやすくなること、一方やせではその背景に何らかの疾患の存在が疑われることが問題となります。そこで、肥満ややせをきちんと判定することは、これらの疾患の予防や早期発見・早期介入につながります。


肥満とは体脂肪過多の状態、やせとは体脂肪過少を含む身長に対して体重が著しく少ない状態を示します。したがって、厳密には肥満・やせの判定には体脂肪量の評価が必要ですが、実際には体脂肪量の簡便で正確な評価法がないため、一般的には身長と体重の計測値から算出される指標で判定します。


成人の場合、肥満・やせの判定は、主にbody mass index (BMI)を用いて行います。BMIは「体重(kg)÷身長(m)2」で定義される体型評価の国際的標準指標で、体脂肪量(皮下脂肪厚、体密度法による%脂肪)との密接な相関性を有します。一般にBMIが大きいほど肥満の程度は大きくなります。しかし、スポーツ選手などで筋肉質の場合、BMIが大きくても肥満といえないことがあります。わが国では、一般的にBMI 25kg/m2以上を肥満、BMI 18.5kg/m2未満をやせと判定します。また、男女ともBMIが22kg/m2前後の場合、病気の有病率や死亡率が最小となることから標準値とされています。なお、国際的にはBMI 30 kg/m2を肥満と判定しますが、日本人の場合BMI 25kg/m2以上30kg/m2未満でも糖尿病や高血圧、脂質異常症になりやすいため、肥満と判定して注意を喚起しています。


小児の場合も、国際的には成人と同様、肥満・やせの判定をBMIにより行います。但し、小児期にはBMIが年齢と共に変動するため、性別年齢別基準値(パーセンタイル曲線)を用いて判定する必要があります。日本人小児の肥満・やせのカットオフ値はまだ確立されていませんが、国際的には95パーセンタイル以上を肥満、5パーセンタイル未満をやせと判定することが多く行われています。一方、わが国では、小児期の肥満・やせの判定を肥満度により行うことが一般的です。肥満度(%)は[実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)]÷標準体重(kg)×100(標準体重:性別身長別年齢別平均体重)で定義される体型評価の指標です。肥満度+20%以上(幼児期では+15%以上)を肥満、-20%以下(幼児期では-15%以下)をやせと判定します。その他小児の場合には、身長および体重の成長曲線を用いて肥満・やせの評価をすることもあります。身長や体重の成長曲線が、基準線と比較して上向きあるいは下向きの異常パターンの発見から疾患の早期発見につながることがあります。


また、近年動脈硬化性疾患の発症との関係からメタボリックシンドロームが注目され、肥満でも特に内臓肥満の評価が重要とされています。内臓肥満の評価は、腹囲(日本では臍高腹囲)を指標として行います。わが国(成人)では腹囲のカットオフ値として男性85㎝、女性90㎝が採用されています。これは、肥満に伴う健康障害(耐糖能異常、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、心疾患)の合併数が増加する内臓脂肪量100 ㎝2に対応する値として設定されたものです。なお、小児では男女とも腹囲80㎝(小学生では75㎝)、あるいは腹囲身長比0.5以上が採用されています。



(慶應義塾大学保健管理センター 井ノ口 美香子)