大学生・成人の予防接種

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予防接種には定期接種と任意接種があります。定期接種は国が勧奨し、被接種者は年齢枠内で受けるように努めなければならない予防接種のことです。ほとんどが小児期の予防接種ですが、高齢者のインフルエンザや2013年度までの高校3年生の麻疹風疹混合ワクチンがこれにあたります。任意接種は病気の予防のために自ら進んで受ける予防接種のことで、大学生・成人で受ける予防接種はすべてこれにあたります。まず、麻疹(はしか)ですが、2007年春の首都圏を中心とする成人麻疹流行の問題点は、麻疹ワクチン1回接種者がかかったことです。この原因としては、接種したが抗体ができなかった人、それに、接種により抗体はできたが時間の経過により抗体が低下した人が増加したためです。米国では麻疹ワクチン2回接種により、麻疹は排除(Elimination)されています。また、風疹、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)、水痘に関しても2回接種により著明に減少しています。破傷風ですが、破傷風菌は土壌中にあり傷口から感染します。発病すると重篤な病気です。乳幼児期に3種混合(DPT)4回その後、11歳頃に2種混合(DT)を受けていても10年毎に追加接種が必要です。破傷風の予防接種は1968年から開始されましたので、それ以前に生まれた人は一度も受けていない可能性があります。スポーツなどで負傷しやすい人は受けることをお勧めします。B型肝炎は血液や体液を介して感染する病気です。医療関係者は予防接種を受けています。スポーツの中でも接触のある格闘技の場合、血液に接触する機会が多いのでB型肝炎の予防接種を受けることをお勧めします。インフルエンザワクチンは、昨年は、新型と季節性(Aソ連型、A香港型、B型の混合)がありましたが、今年から季節性は新型インフルエンザA(H1N1)それにA(H3N2)香港型とB型の混合となり、A(H1N1)ソ連型はなくなります。今年の冬も新型インフルエンザが流行する可能性は高いので、受けることをお勧めします。子宮頸がんの予防にヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチンがあります。26歳以下の女性が接種対象で、受けることをお勧めします。次に、海外渡航(留学、旅行)ですが、米国の場合、入学に際して必要な予防接種(required)が多いので、留学6か月前からの準備が必要です。旅行ですが、特に途上国へ行く場合には、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、狂犬病、ポリオ(インド、アフリカなど)、黄熱(アフリカ、中南米など)が必要となることがあります。遅くとも出発1か月前には準備しましょう。


以上をまとめますと、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘にかかっていない人は予防接種を受けましょう。予防接種を受けて10年以上経過した人は、2回目の予防接種を受けましょう。かかったことがある(自然感染)人は、予防接種の必要はありませんが、風疹、おたふくかぜは診断が間違っていることも多いので抗体検査(IgG EIA)を受けてください。スポーツをする人は、破傷風、B型肝炎、途上国旅行者は、必要に応じ、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、狂犬病、ポリオ、黄熱の予防接種をお勧めします。もちろん、インフルエンザの予防接種は全員が受ける必要のある予防接種です。最近、麻疹と同様に百日咳が増加しています。百日咳の予防接種を乳幼児期に3種混合として受けていても麻疹と同様に追加接種が必要ですが、日本にはそれに見合ったワクチンがありません。米国では、すでに18歳までの対応がなされており、それに加え、その他のワクチンに関しても成人(19歳以上)に対応する予防接種スケジュールの勧告がなされています。日本も米国に見習い成人への予防接種スケジュールの勧告が望まれます。



(慶應義塾大学保健管理センター 南里 清一郎)