職場のメンタル・ヘルス

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厚生労働省によれば、『近年労働者のうけるストレスは拡大する傾向にあり、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える状況にある』ということである。米国の全国罹病率調査National Comorbidity Survey (NCS)の調査によれば、調査時の前の月に精神障害の症状を体験したと報告する労働者が18%を占めていたということである。世界保健機構(WHO)版精神健康調査票簡易版GHQ-28を用いた私たちの昨年度の予備調査によれば、教職員の30.8%が医療機関に相談に行く必要があるとされた。わが国でも職場におけるメンタルヘルスに対して、個人が健康問題として対応することに任せるのではなく事業場が労働環境に監督責任を有しているという見方がなされるようになってきた。平成12年8月の「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」が策定され、労働者の病欠は、事業主にとって大きな社会経済的損失をもたらすことが強調された。日本でも事業場がより積極的な労働者の心の健康の保持増進を図ることが非常に重要な課題とされるようになったのである。


メンタルヘルスは、当事者本人の仕事や職業生活、家庭、地域など心理社会的背景によって多種多様な要因の影響をうける。このため、労働者が精神的に健康であるということは、一概に職場の問題として処理することはできない。こうした場合、本人自身がストレスを感じていることに早い段階で気づき、対処行動に着手していくことが求められる。一方職場にストレス要因が存在した場合、もちろん、それらストレス因子の中には自分ひとりの力で解決することができないものもある。よって、ストレスが存在して本人が苦痛であるという状況を職場と本人がそれぞれ認識し、話し合える場であることが求められる。



(慶應義塾大学保健管理センター 西村 由貴)