突然死の予防と自動体外式除細動器(AED)

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健康と思われていた人が突然発症した病気により急速な経過で死亡することを突然死といいます。突然死の60~70%は心臓が原因であり、その大半は心室細動という不整脈によるものです。心室細動は心筋梗塞や心筋症などの器質的心疾患の合併症として起こることが多いのですが、まれに心疾患のない人に起こることもあります。したがって突然死を健康診断等で事前に予測することはかなり困難なことです。

心室細動とは心室筋がばらばらに興奮、収縮するタイプの不整脈です。心臓はポンプ機能を失った状態に陥り、瞬時に意識を失い呼吸も停止します。心肺停止状態が3-4分以上続くと脳細胞の非可逆的変化を来たし、脳機能の回復は困難となります。よって心臓が回復するまでの間、胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸によって脳に血液を送り続けることが重要です。これを心肺蘇生といいます。急に意識がなくなった人を見かけたら、そばにいる人は直ちに心肺蘇生を開始してください。

なお、心室細動を根本的に治すのに唯一有効な治療法は電気ショック(除細動)です。除細動が1分遅れるごとに救命率は10%低下するといわれています。したがって、医療機関への移送あるいは救急車の到着を待っていては、救命はほぼ不可能となります。そこで開発されたのが、一般人でも使用可能な除細動器AED(automated external defibrillator)です。慶應義塾の各キャンパスや一貫教育校には複数のAEDが配備されています。

先日湘南藤沢キャンパスで、実際にAEDを使用した事例がありました。サークル活動中に倒れた学生に対し、友人たちがAEDを使用して救命するのに成功したのです。救命にかかわった学生たちは特に医療関係の学部というわけではありません。AEDは初めての人でも簡単に、かつ安全に使用できます。しかし、練習をしておくと自信をもって救命活動に取り組めます。AEDの取り扱いを含めた心肺蘇生の講習には積極的に参加することをお勧めします。

心肺蘇生の手順

1)意識状態の確認:「大丈夫ですか」と声をかけながら肩をたたく。

2)通報:119番通報とAEDの取り寄せを指示する。

3)気道確保:片手で前頭部を固定し他方の手で頤(オトガイ)部を持ち上げる。(省略可)

4)呼吸状態の確認:普通の息をしていなければ呼吸なしと判断する。

5)人工呼吸:鼻をつまんで口と口を合わせ、息を吹き込む。(省略可)

6)胸骨圧迫(心臓マッサージ):胸の真ん中を垂直に4~5cm下方に押す。 1分間に100回の速さで30回連続。胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を交互に繰り返す。

7)AEDが到着次第、AEDを装着する。―音声による指示があるので、それに従う―



(慶應義塾大学保健管理センター 和井内 由充子)