インフルエンザ予防のための手洗い、マスク、うがい

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手洗い

手洗いは、日常生活で最も基本的な感染予防法です。日頃から感染予防を意識した「適切な手洗い」を心がけることが大切です。手洗い方法は、

①流水で洗い流す。

②石鹸を泡立てる。

③手のひら→手の甲→指先→親指→指間→手首の順で擦り合わせる。指先は反対側の手のひらに立てるように擦り合わせる、親指は包み込むようにして洗う、手首は全周を洗うようにひねり洗いする。

④流水でしっかりすすぎ、石鹸成分を洗い流す。

⑤しっかり乾燥させる(ペーパータオルで拭く、エアドライヤーで乾かす)。

洗い残しがなく効率的な手洗いを行うため、③のように6箇所を一定の順序で洗います。石鹸は洗浄剤を主剤とするため、手の汚染物質を除去することが主な働きです。一般の石鹸(普通石鹸)の抗菌活性はあっても単に防腐剤程度の効果とされています。しかし、軽く付着した細菌の除去は可能で、石鹸と流水で15秒間以上手を洗うと皮膚の細菌数は減少すると言われています。以上より、日常的な感染予防としての、石鹸と流水による手洗いはたいへん重要です。

手に見える汚れがなく、手洗い場所がない場合は、擦式消毒用アルコール製剤(ウェルパスなど)を使用します。アルコール製剤は他の消毒薬には劣るものの、ウイルスをある程度減少させる効果が期待できます。

マスク

マスクは素材によってガーゼマスクと不織布マスクに分けられます。ガーゼマスクは通気性が良いものの繊維の目は粗く撥水性も乏しいため、飛沫の捕集能力が低くインフルエンザの接触感染予防と喉の保温・保湿程度の効果は期待できますが、不織布マスク不足時の代用品という位置付けが適当です。市販の不織布マスクと医療用のサージカルマスクは同程度の性能で、咳やくしゃみで飛散する飛沫(粒子径5μm以上)を十分捕捉できます。

インフルエンザ対策におけるマスクの効果の第一は、感染拡大の防止です。罹患者が用いて、咳やくしゃみをしても飛沫感染や物を介した接触感染の源になる飛沫の拡散を防ぐことです。その目的には不織布マスクが適切とされます。第二の効果は、罹患していない者が使用することで感染予防が期待できます。マスク着用により飛沫の吸入は軽減されますが、飛沫粒子は落下速度が速いので、医療機関内や看病あるいは混んだ閉鎖空間(電車、バス、狭い部屋など)で浴びせられる場合など、飛沫感染の機会は限られています。その点で感染予防の大きな効果は接触感染の防止にあるといえます。3時間で無意識に目・口唇・鼻孔に何回触れるか調べた米国の研究では、平均で47回と報告されており、手にウイルスが付着した場合、接触感染が成立する機会は非常に多いと想像されます。

また、小学生を対象とした検討では、登下校と清掃時のマスク着用の有無で発症率に差が出ています。これはマスクの効果よりも衛生意識の向上によるとの意見もありますが、まさに複合的な防衛策こそが感染予防では重要であり、少なくとも手洗いもせずにマスクだけで万全という考え方は不適切であることは言うまでもありません。

うがい

日本では古くから、かぜの予防として「うがい」が行われてきました。「うがい」は日本独自の衛生習慣で、欧米ではほとんど行われていません。これまでは経験的に予防に役立つとわかっていただけでしたが、近年の研究により、「水うがい群」では「ヨード液うがい群」や「うがいしない群」に比べて、上気道感染症の累積罹患率が減少し、上気道感染症罹患時の気管支症状(咳、痰)が軽度でした。水うがいの作用機序として、水の乱流がウイルスを咽頭や口腔から洗い流すことや、水道水に含まれる塩素によるウイルスの不活化があげられています。

効果的なうがいとして、以下のようにして3回繰り返す方法があります。

(1回目)食べかすや有機物を取る目的で、水道水を口に含んで強くうがいをする。

(2回目)上を向いて、のどの奥まで水道水が届くように、15秒間うがいをする。

(3回目)2度目と同じように、水道水がのどの奥まで充分届くように、15秒間うがいをする。



(慶應義塾大学保健管理センター 南里 清一郎・井ノ口 美香子・森 正明・德村 光昭)