海外渡航の際の注意

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渡航先(先進国、途上国)、渡航期間、旅行形態(パックツアー、バックパッカー)によって健康に及ぼす問題は違ってきます。感染症に関していえば、途上国、長期間、バックパッカー渡航程リスクは高くなります。又、高地やダイビングの場合、それに伴う健康障害を理解しておく必要があります。


渡航前

1)新型インフルエンザ対策

海外では、Influenza A(H1N1)、H1N1 Fluといいます。2009年7月24日現在、日本で約5,000人(死亡者0人)、世界で約10万人(429人)の発生があります。最も多いのは米国で約34,000人(170人)です。世界135ヵ国(地域)で発生し増加しています。日本では高熱が出れば迅速診断を行いインフルエンザと診断すればタミフル(Tamiflu, Oseltamivir)、リレンザ(Relenza, Zanamivir)で治療します。外国、特に米国では合併症(喘息、心臓病、糖尿病、妊娠など)のない健康成人では抗インフルエンザ薬で治療しないことがあります。治療を希望する場合には申し出る必要があります。米国の医療費は高額なので海外旅行保険に入り、クレジットカードを携行することが望まれます。途上国では現金がないと診療が受けられないことがあります。中国では十分な診療を受けるには3,000元(約4万円)程度の現金が必要なことがあります。マスクの着用に関して日本と外国では考え方が違います。日本の場合予防のためにも着用しますが外国では感染者が飛沫を飛ばさないために着用します。マスクを着用していると感染者と見なされることがあります。

2)渡航先の情報による準備[表]

渡航先がA型肝炎、B型肝炎、狂犬病、日本脳炎、ポリオ、黄熱などの流行地かを確認し、必要に応じて予防接種を行います。マラリア、デング熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱の流行地かを確認し蚊対策を行います。マラリア流行地や高地の場合、専門医と相談し予防薬を準備することもあります。

3)医薬品などの携行品

持病がある場合は渡航期間より少し長めに常用薬を携行します。例えば降圧薬ニューロタン25mgは商品名ですがLosartan 25mg は一般名です。一般名がわかれば海外で入手することは可能です。その他、使い慣れた鎮痛解熱薬、総合感冒薬、止痢薬それに外用薬(軟膏、点眼薬)など必要に応じて準備します。いずれも一般名をチェックしておきましょう。途上国では下痢を起こすことが多いので経口補水液(OS-1など)を準備します。また、電子体温計も必要です。摂氏38.0℃は華氏100.4゚Fです。

渡航中

航空機内環境は、気圧0.8気圧、気温22℃、湿度5~15%です。機内での飲酒は酔いが回り易いので控えめにしましょう。エコノミークラス症候群の予防には、ゆったりとした服装で小まめに水分を取り下肢の運動をすることです。鼻が悪いと航空中耳炎になることがあります。コンタクトレンズの使用には注意が必要です。時差ぼけの予防は出発数日前から東回り(米国方向)は就寝時刻を早め、西回り(ヨーロッパ方向)は遅くします。機内では東回りはフライトの前半に寝、西回りでは後半に寝るようにします。現地では、現地時間に合わせた生活をします。渡航地では事前の情報に基づき途上国では生もの・生水の摂取に気を付け、蚊に刺されない様にし、交通事故にも気をつけましょう。

渡航後

海外からの持ち帰り病に注意しましょう。帰国時、発熱、下痢などの症状があれば空港の検疫に申告し適切な判断を仰ぎましょう。帰国後1ヵ月以内に体調不良により医療機関で受診する場合、必ず海外渡航歴を告げましょう。

以上、途上国短期渡航を中心に注意事項をまとめてみました。

表 海外の保健医療情報のホームページ

機関名 ホームページアドレス 内容
外務省海外安全
ホームページ
http://www.pubanzen.mofa.go.jp 治安情報を中心に、外務省で発出されている最新の渡航情報
MOFA外務省
在外公館医務官
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/ 外務省在外公館医務官医療情報
FORTH
厚生労働省検疫所
海外感染情報
http://www.forth.go.jp 海外感染症情報を提供する厚生労働省検疫所のサイト(FORTH)
感染症予防・治療のための個別情報や予防接種情報を公開
WHO
世界保健機関
http://www.who.int/immunization
http://www.who.int/ith/en/
海外感染症情報


(慶應義塾大学保健管理センター 南里 清一郎)