新型インフルエンザInfluenza A(H1N1)について

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インフルエンザウイルスにはA、B、C型があります。人に病気を起こすのは、A、B型です。A型は、時に人に大流行を起こすことがあります。大流行を起こす理由としては、A型ウイルスはその抗原性からH16種、N9種を組み合わせた亜型があるからです。今迄に、人に大流行を起こしたのは1918年のスペインかぜA(H1N1)、1957年のアジアかぜA(H2N2)、1968年の香港かぜA(H3N2)、1977年のソ連かぜA(H1N1)です。現在、季節性に流行するインフルエンザは、A香港型、Aソ連型、それにB型です。今回の新型インフルエンザはA(H1N1)ですが、ソ連型とは遺伝子が違うので新型インフルエンザということになります。以前から新型インフルエンザとなる可能性が高いとされていた鳥インフルエンザはA(H5N1)で、今回の新型インフルエンザとは違います。アメリカや神戸での罹患者の分析により以下のようなことがわかってきました。


1.症状

90%以上に38℃以上の高熱があります。それに、咳、倦怠感、のどの痛み、鼻汁、頭痛、下痢、嘔吐があります。

2.潜伏期、感染力、毒性

潜伏期は2~7日で季節性インフルエンザ(1~4日)より少し長く、感染力、毒性は季節性と同等か少し強いと考えられています。季節性インフルエンザの致死率は0.05~0.1%ですが、それよりやや高いようです。 それに、糖尿病、呼吸器疾患などの病気のある人や妊婦、高齢者、乳幼児では重症化する可能性が高くなります。また、ほとんどの人が新型インフルエンザの抗体(免疫)がないと考えられるので感染する可能性があります。

3.感染経路、伝染期間

感染経路は、飛沫、接触、狭い空間では空気感染です。伝染期間は、発病前日から解熱後2日間なので発病後7~10日間ということになります。

4.予防、治療

一般的予防としては、手洗い、うがい、マスク、人込みへの外出を控えるなどです。それに感染者のマスク着用と咳エチケットが重要です。現在、予防接種はありませんが、抗ウイルス薬(タミフル、リレンザ)を予防に使うことがあります。治療としては、抗インフルエンザ薬と対症療法です。現時点では、抗インフルエンザ薬は効果があり、日本には約3800万人分が備蓄されています。



この新型ウイルスは、呼吸器中心に感染する弱毒型と考えられていますが、全身感染を起こす強毒型に変異する可能性もあります。今迄考えられていた新型インフルエンザ対策は強毒型の鳥インフルエンザの対策です。今回のように新型インフルエンザ発生直後からの世界的対策は歴史上初めてです。そのため、その対策は海外、それに同じ国内でも地域により異なってくる可能性があります。行政機関、義塾、各一貫校の情報に基づき、各人が落着いて行動し個人的、社会的被害を最小限にしたいものです。


(慶應義塾大学保健管理センター 南里 清一郎)