学生のメンタル・ヘルス

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毎年5月の連休を過ぎたあたりから、体調を崩す学生が増えてきます。4月はオリエンテーション、健康診断などがありあわただしく日々が過ぎていきます。新入生は、新たな環境への期待と不安・緊張感にあふれ、在学生も新年度の始まりに期待と意欲にあふれています。このため、4月中にあらたな精神的症状の出現がみられることはまれです。むしろ5月に入り新環境への慣れから緊張がとれ、連休の開放感で疲労がどっと出てくる頃になると体調を崩す学生が増えてくる。単なる疲れと放置して梅雨時を過ごしてしまうと、授業に出席できていない自分、春学期の試験期間となるのに勉強に集中できない自分がいることに気付き、あわてて受診というパターンは1つの典型例となっています。また、春学期の試験で成績がふるわなくとも夏休み中実家で休養を取るなどするとやや改善するため、受診を見送り秋学期が始まってついていけない自分に気付くパターンもよくみられます。


大学生は、多くは親の庇護の元にある高校生という環境を一段飛び越え大人になるステップです。そこから、就職活動を通じて社会人への準備を行うといった精神面の大きな成長と成熟を求められるようになります。このため社交恐怖(いわゆる対人緊張)、うつ病、自殺の恐れなどの有病率が一般人口より高いことが私どもの調査からわかっています。できるだけ早く異変に気付くこと、問題意識をもって相談行動にでることにより改善も容易になるのですが、精神科の敷居は高いものです。留年や休学を検討する時になって受診することも少なくありません。一方同じ疾病でも一般成人と異なり、精神的成熟・変化を需要する柔軟性といった可塑性を有しており、障害を克服して成長し卒業にいたることも多くみられます。学生が大学生活にストレスを感じていた場合、保健管理センターはちょっとした相談にのることができます。学生の問題にお気づきの際は、彼らの背中を押してみてください。「大麻は安全である」といった誤った情報が氾濫している実情が、若年者を中心に大麻の乱用が増加している背景にあります。



(慶應義塾大学保健管理センター 西村 由貴)